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救命救急センター10周年

根岸正敏救命救急センター長

根岸正敏救命救急センター長
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根岸正敏救命救急センター長

継続こそ力なり

 Q. 救命救急センター指定からちょうど10年です。いまの先生の思いをお聞かせください。

あっという間の10年でした。指定を受けた時もそうですが、「救命救急センターだから、重症の患者さんだけを受け入れる。」といったような考えはなく、これまでどおり全ての患者さんを受け入れることを目標にやってきました。近森病院は、開設当初から“救急の近森”としての歴史があります。脈々と続いてきたその歴史の中で、私自身は一部に携らせていただいているといったくらいの思いです。

ただ10年前も救急受入件数は多かったですし、心臓や脳卒中などの急患対応も頑張ってやっていましたので、院内では「2.5次救急」という言い方をしていました。それはあくまでも「二次救急の病院だけど三次救急も診ている」という自負心がありました。ですが、結局のところ、「どれだけ患者さんが良くなったか」ということが一番大事なことで、そういうことは数値には出ませんし、比べるものもありませんが、少なくとも今までの救急医療の実績を評価していただいて、救命救急センターへの指定に繋がったのだと感じていました。今も実績うんぬんというよりは、日々目の前の患者さんを助けたいという思いだけです。

誤解を恐れずに述べさせてもらうと、私たちの仕事は、患者さんが辛い時にしか接触しませんので不謹慎のように感じられるかもしれませんが、この10年で本当に多くの救急搬送を受け入れることが出来たことは県民の皆さんのお役にたてたのかなぁという思いがあります。

 Q. 10年間で患者さんの層や疾患などは変わってきているのでしょうか?現場でどのように感じておられますか?

高齢化の波は顕著に感じています。実際に院内データを見ると来院される方の平均年齢は毎年0.6歳ずつくらい高くなっています。診療していると、「骨折はしていないが入院させてほしい」という独居で高齢の方の受診などは本当に増えてきたように思います。診ること自体に負担は感じませんが、急患が次々に運ばれる中、患者さんの希望通りに入院させることは難しいので心苦しく感じることもあります。入院加療が必要と判断した場合でも、転院調整に苦労する場面も増えています。

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救急医としての覚悟

 Q. 指定を受けた2011年は東北沖地震のあった年ですが、特別な思いなどあったのでしょうか?

東北沖地震は甚大な被害が出ており、いまも多くの方々が、ご苦労されていると理解しています。2011年当時は当院からもDMAT隊が派遣されました。私自身も石巻を中心に活動しましたが、本当に悲惨な現場でした。そんな中での救命救急センター指定でしたがセンターになったからどうだという考えではなく、われわれ高知でも高い確率で南海トラフ地震が起こるといわれており、救急医としてどう災害に対応、備えていくのかという視点で頭をめぐらせていたことを覚えています。

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スタッフへの感謝

 Q. 人員体制は変化してきているのでしょうか?

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救急専従医でいうと、うちの初期研修から育った先生たちがスタッフに加わってくれており、現在6名体制で一時期より充実してきました。ただ、年間6,000件超という救急搬入件数を考えると、まだまだ救急専従医は多くありません。個人的には10名ほどが理想的だと考えています。県外の大規模センターからすると、うちのスタッフは一人で何役分も頑張ってくれていると感じています。

救急救命士は、配置当初の1名から8名にまで増員してきました。夜勤帯にも配置することができ、チームの一員として看護師の業務負担の軽減に寄与してくれています。医師の同乗を必要としない救急車の出動や中継搬送というのも、看護師ではなく救急救命士だけで行けるのも大きいです。もし車内で救急救命処置が必要になった場合でも、医師からオンラインによる指示のもとで対応することができます。

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安心していただける存在に

 Q. 10年の間に建替えもありました。変化が大きかったのはどんなところでしょうか?

ヘリポートが病院に併設されたことはすごく大きかったと思います。今までは車で片道10分ほどの距離にあるグラウンドまで迎えに行っていました。場合によっては、医師が高知空港まで行き、そこからヘリで130km離れた幡多けんみん病院まで迎えに行くこともありました。フライト時間以上に、救急車での往復に相当な時間が掛かっていましたが、その時間が0になったことはとても大きいです。高知では3つの救命救急センターすべてにヘリポートが設置され迅速な対応ができることは患者さんにとっては本当にプラスなことだと感じています。

院内では、ER内で色々な手技に対応しやすくなっており、面積も格段に広くなりました。開頭や開胸することも、以前に比べ安全に行えるようになりました。特にうちの良いところは、R1、R2という救命処置室は陰圧仕様になっていて、感染対応もできるところです。

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 Q. 今年は、新しいドクターカーも導入されます。車輌装備、体制ともにより充実したものとなります。先生が期待されている点などお聞かせください。

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機材が最新のものになりますので、やれることはたくさんあります。医療機関や現場へ積極的に行けるようにしたいと思っています。ただし、大事なことはそれをいかに使えるかに尽きると思います。医療従事者のレベルアップも図らなければいけませんし、運転手にしてもより迅速に安全に着くということが重要であり訓練が必要不可欠ですので、そういう自覚を各スタッフが高めてもらいたいと思っています。

それから搬送の現場では救急隊との連絡、連携がとても大切です。円滑な情報共有は日頃の関係づくりからだと思います。これからも症例検討会や訓練で互いにレベル向上を重ねていきたいですね。

これからも近森は全員野球

 Q. 最後に先生からメッセージをお願いします。

うちの救命救急センターは、垣根を越えて、様々な診療科、部署に応援してもらって成り立っています。独立型といわれる救命救急センターだけですべてを完結するようなスタイルとは全く異なります。あくまで重症から軽症まですべてに対応する現在の北米型の救命救急センターを続けていきたいと考えています。以前、新聞記者さんに「近森は全員野球」と書かれたことがあります。端的に当院を表現してくれていますしその通りだと思います。そしてこれからも全員野球で救命救急に力を尽くしていきたいと思っています。

ありがとうございました。

インタビュアー 企画課

10周年を迎えた救命救急センタースタッフからのメッセージをご紹介します。 
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