腎臓内科

腎臓機能の悪化を予防。
透析治療や透析合併症後も
一貫した体制でサポート。

診療方針と特徴

腎臓内科は血尿や蛋白尿、腎機能低下があるときにその原因を調べ(腎生検など)、その原因となる病気に対して治療をおこない腎臓の機能を悪化させないようにすることや、不幸にして腎機能が高度に悪化し改善が期待できない場合には人工腎臓である透析療法を用いて症状の改善や生命の維持を行います。最近では糖尿病や高血圧、動脈硬化などに伴い徐々に腎臓の働きが悪くなる慢性腎臓病(CKD)の患者さんも大変増えています。それらの患者さんに適切な投薬や食事などのアドバイスを行うことも腎臓内科として重要な仕事の一つとなっています。
当院では腎生検から腎炎の治療、血液透析、腹膜透析の導入まで腎臓の働きが悪くなる予防から、その進行を止めること、悪くなった後の透析治療の開始そしてその後の透析合併症の治療まで一貫して対応できる体制であり、常にその質の向上に努めています。

医師紹介

部長 吉村 和修 Kazunobu Yoshimura (腎・透析センター 部長) (臨床工学部部長)

Field [得意分野]

急性血液浄化、透析療法を中心に腎臓内科一般

Message[患者さんへのメッセージ]

腎臓病や透析療法は患者さんにはわかりにくい分野だと思いますが、できるだけわかりやすく説明できるよう努力していきたいと思います。よろしくお願いします。

Qualifications[資格等]
    医師の専門性資格
    [ 厚生労働省医政総発0124第1号通知に準ずるもの、および日本専門医機構認定の資格等 ]
  • 日本内科学会 総合内科専門医
  • 日本透析医学会 透析専門医・指導医
  • 日本腎臓学会 腎臓専門医・指導医

主な疾患と治療方法

慢性腎炎

慢性腎炎とは血尿や蛋白尿を伴い数か月から数年の経過で腎臓の働きが低下して最終的には腎臓の機能が廃絶してしまう病気の総称です。具体的にはIgA腎症や巣状糸球体硬化症、膜性増殖性腎炎などが代表的な病気です。学校や職場での検診で尿検査を受けたことがある方は多いと思いますが、これは主にそのような病気を早期に発見し治療につなげるために行われています。このような病気に対して、当科では腎生検といって腎臓の組織の一部を採取して診断し治療を行っています。現在のところ、これらの病状が進行しすでに腎機能が高度に低下してしまうと腎臓の機能を回復することが困難なため早期の治療が必要となります。代表的な慢性腎炎であるIgA腎症に対してはステロイドなどの免疫抑制剤を用いてその治癒や進行阻止を行っています。腎機能が一定以上低下したものに対しては慢性腎臓病(CKD)として極力腎機能の悪化を食い止めるべく降圧剤や食事療法の指導などを行っていきます。

ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群とは、血尿を伴う場合もありますが主には蛋白尿が大量に出ることで血液中の蛋白が低下し、高度のむくみなどをきたす疾患群です。代表的なものに膜性腎症、微小変化型ネフローゼ症候群、巣状糸球体硬化症などがあります。これらの疾患も診断の確定には腎生検という腎臓の一部を採取し顕微鏡で確認することが必要です。診断が確定すればそれに応じて免疫抑制剤や生物学的製剤を用いて蛋白尿がでなくなる「寛解」という状態を目指して治療を行います。

DKD(糖尿病に合併する腎障害)

糖尿病に伴う腎障害を総称してDKDと呼んでいます。糖尿病に伴う腎臓病は以前糖尿病性腎症とよばれ高度の蛋白尿を伴うことが特徴とされていましたが、最近では糖尿病があっても蛋白尿を伴わないが徐々に腎機能が低下することも少なくないことがわかってきており、これらをまとめてDKD(糖尿病性腎臓病)と呼ぶようになっています。このDKDの治療は、血糖コントロールを通じてその発症を予防することが重要です。しかし残念ながら現在でもDKDを発症してしまう方は多くいらっしゃいます。この病態に関しては腎機能をよくするような決定的な薬はない状況ですが、降圧剤による高血圧管理や脂質管理、高尿酸血症などの多面的な治療を組み合わせることで腎機能の悪化がかなり抑えられることもあります。当科では糖尿病内科、栄養師、糖尿病専門看護師など多職種と連携し透析糖尿病予防に努めています。

急性腎障害、急速進行性糸球体腎炎

腎臓病は慢性、つまりゆっくりと悪くなることが多いのですが、なかには急激に発症し数日や数週間であっというまに透析まで必要になることがあります。これらに関しては素早く適切に診断し治療を行うことで透析が必要なまで悪化した腎臓でも治療が奏功すれば正常近くまで回復する場合があります。また重症感染症などの高度のストレスや全身の疾患により多臓器不全の一つとして腎機能が高度に悪化する場合があります。多臓器不全に急性腎障害を伴った場合は伴わない場合に比較し死亡率そのものが大きく上昇することが知られています。このため様々な領域の医師と連携しながら急性血液浄化法を用いながら適切な体液管理を維持することで死亡率の改善及び急性腎障害の改善を目指しています。

CKD(慢性腎臓病)

従来は上述した慢性腎炎が進行して腎臓の機能が低下していくことが一般的でしたが高齢化がすすみ生活習慣病を原因とした腎臓の機能の低下が問題となってきています。具体的には高血圧や動脈硬化に伴う腎硬化症や糖尿病性腎臓病などがあげられます。これらは糖尿病性腎臓病の項でも述べましたが、免疫抑制剤などの治療は効果がありません。そのため高血圧や血糖コントロールの改善、食事治療や適切な運動習慣、禁煙などが重要となってきます。またある程度進行してしまった慢性腎炎などもこのような治療が重要となってきます。腎機能の低下は腎炎などよりも比較的緩やかなことが多いですが、このCKDの状態はわが国では13人に1人と高頻度でみられること、そして高齢になればなるほどその頻度が上昇するため非常に問題となっています。生活習慣病の治療が中心となるため気の長い努力が必要になってきますが当科では投薬内容の見直しや食事指導などを通じてCKDの増悪を食い止めるべく努力しています。

末期腎不全の治療法

残念なことに上記の様々な病気により腎臓の働きが悪化し治療にも反応しない場合には最終的にはみずからの腎臓では生命を維持できなくなります。そのような状態を末期腎不全と呼びます。そのような状態になると水分、塩分が体にたまって浮腫(むくみ)がひどくなり足や顔がはれたり、肺に水分がたまり心不全の状態となって息切れが強くなります。また腎臓で尿の中に捨てている体内の老廃物がたまることで嘔気や食欲の低下がおこり最終的には意識が低下してくる場合があります。この状態を尿毒症と呼びますがこのような場合には腎臓の代わりをする治療である透析療法が必要となります(できればこのような状態になると予想される少し前に透析導入が望ましいです)。
透析療法には血液透析療法と腹膜透析療法の二つの選択肢があります。もっとも普及している血液透析療法とは血液を体外で循環させ、腎臓の代わりとなるろ紙の代わりとなるもの(ダイアライザー)に通すことで体内に貯留した老廃物や水分などを取り除く治療法です。具体的には一回4時間程度で週に3回行い腎臓の代わりをします。血液透析の準備として内シャントといって通常は利き手の反対側の手の静脈と動脈をつないでバイパスする手術が必要になります。この作成した内シャントに血液をとるほうと返すほうの二か所に点滴のように針を刺すことで透析が可能となります。
またもう一つの腹膜透析療法はおへその下あたりからカテーテルを手術的に挿入してカテーテルの先端を骨盤あたりに留置します。もう一方の先端は腹部から皮下トンネルを通じて腹部から体外にでており、そちらを透析液のはいったバックと接続し腹部の中に透析液を挿入します。3-4時間入れておいたのちにその透析液を排液し、新しい透析を再度腹部にいれます。これを4-5時間毎に繰り返すことで腎臓の代わりをします。透析液を入れ終わった後はカテーテルの接続部をキャップで閉じることで透析液の入れ替えをしている時間(大体30-60分程度)以外は自由に行動することができます。
この二つの治療を上記の分だけで具体的にイメージを持つのはなかなか難しいと思います。現在まだ未整備ですが、今後はこの透析療法の選択について療法選択外来を立ち上げ時間をとって説明できる環境を整えていく予定です。

当院での透析療法

現在当院では本館7Fに40床の血液透析が可能な腎・透析センターがあり、約100名程度の患者さんが血液透析療法をおこなっています。病院の性格上、他院で透析を受けている患者さんが、何らかの病気で入院や手術が必要になった患者さんの血液透析も対応しています。また新規に透析導入になる方の透析の開始も行っています。また重症の患者さんにはICUなどの集中治療室での透析にも対応しています。またそのほかに血漿交換療法や免疫吸着療法、エンドトキシン吸着療法など特殊な血液浄化療法にも対応可能です。
また腹膜透析療法に関しては外来センター5Fの透析外来にて診察・治療など行っています。

診療実績