心筋症研究所について

■心筋症研究所について
所長  土居義典

心筋症研究所では、私のこれまでの心筋症に関する学術活動、および40年以上に渡る臨床経験を踏まえて以下に述べる色々な心筋疾患について、(1)その病態解明、診断・治療に関する学術的な研究および情報発信を行うとともに、その学術活動を通して、(2)診断および治療の困難な患者さんや紹介された患者さんの生命の質および生活の質の向上を目指して、最新かつ最良の医療を提供したいと考えている(心筋症外来:火曜・木曜の午後)。


心筋症とは

心筋症は心臓の筋肉の病気で、従来原因不明で特発性と呼ばれていた「心筋症」と、二次性と呼ばれていた「特定心筋症」とがある。
「心筋症」には主に4つのタイプ、すなわち、①肥大型心筋症、②拡張型心筋症、③拘束型心筋症、④不整脈源性右室心筋症がある。

  1. 肥大型心筋症は心筋が異常に肥大し、その拡張機能が障害される心筋症で、家族内に発症することも多く、多くの病因遺伝子が特定されている。閉塞型と非閉塞型の2つの病態に分けられる。予後は良好のことが多いが、若年者の突然死や中高年者の心房細動・脳卒中・心不全の原因となる。
  2. 拡張型心筋症は心臓内腔が拡大し収縮機能が低下し、全身に十分な血液を拍出出来ないために心不全を生じる病態である。原因としてウイルス感染や免疫異常が推定されている。また一部には病因遺伝子も特定されている。
  3. 拘束型心筋症は特に心臓の拡張機能が障害される稀な病態で、その病態解明はあまり進んでいない。
  4. 不整脈源性右室心筋症は主に右心室の心筋が脂肪や線維に置換され、致死的不整脈を合併し、若年者の突然死の原因となる。

「特定心筋症」としては心アミロイドーシスや心ファブリー病など肥大型心筋症に類似した病態を示すタイプや、心サルコイドーシスなど拡張型心筋症に類似した病態を示すタイプがある。また多量のアルコール摂取(アルコール心筋症)や、主に広範な心筋梗塞後に左室全体のリモデリングが生じ収縮能の低下する病態(虚血性心筋症)なども見られる。また特殊なものとして、急性心筋梗塞との鑑別が重要な「たこつぼ型心筋障害」もある。心室に一過性に、限局した壁運動異常を生じる病態で、急性期以後の病態は良好であることが多い。

今後の活動

日本心不全学会のなかに新たに分科会として立ち上げられた日本心筋症研究会の活動の一環として、全国の約20施設の参加・協力のもとに、肥大型心筋症の全国登録調査事業(J-HCM)を2016年から開始した。事務局は高知大学医学部老年病・循環器内科学(北岡教授・久保講師)におき、2000人以上の患者さんの登録を行い、さらに5年間の経過観察を通して日本人の特徴を明らかにしようとするものである。

今後さらに近森病院における心筋症患者さんの学術的な調査も行い、患者さんのより良い診療につながる情報を発信していきたいと考えている。