乳腺・甲状腺外科

専門医だからこそ
患者さんの想いを大切にし
QOLの改善に努めます

診療方針と特徴

乳腺疾患においては、乳腺専門医がガイドラインに沿った標準診療を行なっています。良性悪性診断は、まずマンモグラフィ(女性マンモグラフィ認定技師が撮影)、超音波検査で診断します。乳がんが疑われる場合は針生検(微小組織採取)を行ない、乳がんのサブタイプや組織型などの病理診断結果により治療方針(手術や薬物療法)をご相談します。手術症例の術後補助療法も引き続き行ないます。
甲状腺疾患においては、甲状腺腫瘍の良性悪性診断は超音波検査で、がんが疑われる症例は穿刺吸引細胞診か針生検を施行します。甲状腺がんの場合は手術をお勧めしますが、直径1cm以下の甲状腺乳頭がんについては、ご本人のご希望があれば直ちには手術を行わず、経過観察をしています。

医師紹介

田中 洋輔 Yousuke Tanaka (外科部長)

Field [得意分野]

乳腺疾患の良性悪性診断と、乳がんの手術及び手術以外の治療(ホルモン療法など)。
甲状腺腫瘍の良性悪性診断と、甲状腺がんの手術と治療。
乳癌と消化器癌の薬物療法(抗がん剤、分子標的薬治療など)。

Message[患者さんへのメッセージ]

高知県安芸市出身です。高知大学病院に勤務(22年)後、当院に勤務しています。患者さんのQOL(生活の質)とご希望を重視した治療を心掛けています。また、乳がん手術時にご希望があれば、形成外科と共同で乳房再建術ができます。

Qualifications[資格等]
    医師の専門性資格
    [ 厚生労働省医政総発0124第1号通知に準ずるもの、および日本専門医機構認定の資格等 ]
  • 日本消化器病学会 消化器病専門医
  • その他資格等
  • 日本乳癌学会 乳腺名誉専門医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
  • 日本消化器外科学会 認定医
  • 医学博士(京都大学-1987年)
  • 高知大学医学部臨床教授

主な疾患と治療方法

乳がん

ほとんどの場合、乳房に硬いしこりを触れますが、初期の乳がんではしこりを触れることができないこともあります。少し進行すると乳がんのある部位の表面皮膚にえくぼ徴候が出現し、相当進行すると皮膚潰瘍となります。腋窩リンパ節転移があれば、腋窩にも硬いしこりを触れるようになります。特殊な「炎症性乳がん」では皮膚が発赤し、皮膚に浮腫が出現します。
検査
マンモグラフィ、乳房超音波検査で乳がんが疑われた場合は、針生検による病理診断を行ないます。針生検にて乳がんと診断された場合は、遠隔転移の有無を調べるためCT検査を、手術術式として乳房部分切除を予定する場合は乳がんの拡がり診断のためにMRI検査を行ないます。針生検による病理診断で乳がんのサブタイプと組織型を診断し、症例毎に治療戦略を立てます。
治療
  • 手術:乳房の手術術式には、乳房全切除と乳房部分切除があり、症例毎に適切な選択をします。
    腋窩の手術術式には、センチネルリンパ節生検とリンパ節郭清があります。高齢者の早期乳がんでは腋窩手術を省略することがあります。
  • 術後補助療法:乳がんの進行度とサブタイプに応じて術後補助治療を選択します。ホルモン療法感受性乳がんの場合は術後にホルモン療法を行ない、そうではない乳がんの場合は抗癌剤治療を行なう場合があります。また、放射線治療を術後治療として追加する場合もあります。症例によっては、手術前にホルモン療法や抗がん剤治療を行なう場合があります。
  • 非手術:高齢者のホルモン療法感受性乳がんでは手術を選択せず、ホルモン療法を優先させることがあります。

甲状腺がん

前頸部に塊を触れますが、ご自分では気づかないことも多いです。声のかすれが出て、検査で発見されることが稀にあります。

甲状腺乳頭がん

「乳頭」という名称は、顕微鏡で観察してがん細胞が「乳頭」の形をしているためつけられた名称です。ゆっくり進行し、おとなしい性格の症例が多いです。頚部のリンパ節に転移することがあります。進行すると声のかすれが出現したり、気管に浸潤します。

濾胞(ろほう)がん

手術前に、良性腫瘍である濾胞腺腫(ろほうせんしゅ)と区別することが難しいがんです。最終的には摘出された腫瘍でがんと病理診断されます。
以下のような濾胞腫瘍ではがんを疑い手術をお勧めします。
①超音波検査で腫瘍の表面に凹凸がある ②腫瘍が4cm以上 ③腫瘍が大きくなった
④サイログロブリン値が1000ng/ml以上 ⑤針生検や細胞診で悪性の可能性がある
また、稀に、肺や骨などに遠隔転移していることがあります。
甲状腺がん、甲状腺乳頭がん、濾胞がんの検査
超音波検査を行ないます。超音波検査でがんが疑われた場合は、穿刺細胞診か針生検(微小組織採取)を行ない、病理診断します。甲状腺がんと診断された場合は、遠隔転移の有無を調べるためCT検査などを行ないます。
甲状腺がん、甲状腺乳頭がん、濾胞がんの治療
基本的には甲状腺の切除と頚部リンパ節の切除を行ないます。手術後は甲状腺ホルモン剤やビタミンDの内服が必要になることがあります。手術後の予後は他のがんに比べて良好です。

新たな取り組み

高齢者乳がん症例では、針生検を施行して乳がんのサブタイプを病理診断します。ホルモン療法感受性乳癌と診断された場合は、患者さんのご希望があればホルモン治療薬による薬物療法を優先させる方針を採用しています。腋窩リンパ節転移が認められない高齢者乳がん症例では、局所麻酔下乳腺部分切除を選択することもあります。

診療実績

2021年1月~12月 診療実績

2021年1月~12月・乳腺疾患初診 48例
2021年1月~12月・乳腺疾患初診例に対する侵襲的検査件数
針生検 23件
穿刺細胞診 25件
2021年1月~12月・初診乳癌症例 25例
手術施行(手術先行) 12例
抗癌剤化学療法で治療開始
(前年からの継続例は除く)
3例
非手術・ホルモン療法開始
(前年からの継続例は除く)
4例
他院治療後・ホルモン療法 1例
他院治療後再発・ホルモン療法 1例
診断後 他院転院
(1例は病状から、2例は患者家族希望で)
3例
診断後 治療拒否/経過観察 1例
2021年1月~12月・甲状腺/副甲状腺疾患初診 25例
2021年1月~12月・甲状腺/副甲状腺疾患初診例に対する侵襲的検査件数
穿刺細胞診 15件
2021年1月~12月・初診甲状腺癌症例 3例
手術施行 1例
遠隔転移のある甲状腺癌
(1例は手術適応無し、1例は手術拒否)
2例
2021年1月~12月・初診甲状腺濾胞腫瘍症例 2例
手術施行 1例
2021年1月~12月・初診副甲状腺機能亢進症症例 1例
手術施行 1例
乳腺・甲状腺外科 手術症例(2021年1月~2021年12月迄) 16例
乳房切除+腋窩リンパ節郭清 2例
乳腺部分切除+腋窩リンパ節郭清 1例
乳房切除+腋窩センチネルリンパ節生検 6例
乳頭温存乳腺全摘+腋窩センチネルリンパ節郭清 1例
乳房全層円状部分切除 2例
乳癌皮下転移巣切除 1例
甲状腺片葉切除+頸部側方リンパ節郭清 1例
甲状腺片葉切除 1例
副甲状腺腫瘍切除+甲状腺部分切除 1例