皮膚科

ちょっとした皮膚のトラブルから
入院治療、皮膚外科手術まで
幅広く・分かりやすく対応

診療方針と特徴

髙田(男性医師)と小林(女性医師)の2名で診療を行っており、外来診療が主体ですが、蜂窩織炎(ほうかしきえん/皮膚の細菌感染症)、薬疹(薬のアレルギー)などでは入院治療をおすすめする場合もあります。皮膚外科手術は必要に応じて形成外科医と連携しながら行っています。
当科を受診いただくためには紹介状が必要となります。受診希望の際は、かかりつけの医院にまずはご相談ください。“近森病院皮膚科として、地域医療に貢献できる事は何か?”を常に考えながら、日々の診療に取り組んでまいります。

医師紹介

部長 髙田 智也 Tomoya Takata

Field [得意分野]

幅広い皮膚疾患に対応し、当院で治療が完結できるよう努めてまいります。

Message[患者さんへのメッセージ]

気軽に、そして気楽に相談できる皮膚科を目指しています。些細なことで構いませんので、まずはご相談ください。

Qualifications[資格等]
    医師の専門性資格
    [ 厚生労働省医政総発0124第1号通知に準ずるもの、および日本専門医機構認定の資格等 ]
  • 日本皮膚科学会 皮膚科専門医

小林 亜里紗 Arisa Kobayashi

Field[得意分野]

皮膚科全般を勉強中です。

Message[患者さんへのメッセージ]

まだ若輩者ではありますが、日々患者さんのお役に立てるよう勉強しております。
皮膚のことで気になることがありましたらご気軽にご相談下さい。

主な疾患と治療方法

湿疹・皮膚炎群

あせも(汗疹)、かぶれ(接触皮膚炎)やアトピー性皮膚炎など、かゆいブツブツが主な症状となる皮膚病の総称で、当科外来でもっとも患者数の多い病態です。症状が長引く場合は身近にあるものが原因となっているのかもしれません。かぶれ(接触皮膚炎)が疑われる場合は、使用中の化粧品や金属のパッチテストなどを行うこともあります。
治療はステロイドの外用が一般的ですが、“どのような塗り方をしたか”によって効果が大きく異なることがあります。当科では外用の指導もおろそかにせず、有効な使用方法から注意すべき副作用まで、分かりやすい説明を心がけています。
アトピー性皮膚炎の新しい治療について

アトピー性皮膚炎は、「皮膚のバリア機能の異常」、「アレルギー炎症」、「かゆみ」の3つの要素が互いに関連しながら発症すると考えられております。そのため「かゆみ」を取るだけの治療では病気のコントロールが不十分になる事も多く、これら3要素を意識した薬物療法と患者指導が重要となります。(指導内容としては適切なスキンケアや悪化因子の検索と対応などがあります)

ステロイドの外用が治療の中心となることが多い病気ですが、2018年頃から新しい注射薬、新しい内服薬、新しい外用薬が次々と開発されており、患者さんに提案できる治療の選択肢が広がってきています。近森病院皮膚科ではアトピー性皮膚炎の新しい薬剤を積極的に取り入れており、従来の治療方法を併用しながら治療を行っております。使用の適応の有無については医師の判断となりますが、これまでの治療で十分な効果が得られていない方はぜひご相談ください。以下に代表的な新規薬剤をご紹介します。

  1. デュピルマブ(デュピクセント®)
    • これまでの治療で十分な効果が得られていない15歳以上の患者さんが適応になります。
    • 2週間に1回の間隔で皮下に注射する生物学的製剤で、アトピー性皮膚炎の病態に関与するIL(インターロイキン)-4とIL-13をピンポイントでおさえる薬剤です。
    • EASI 75(アトピーの重症度スコアが投与開始時から75%改善した患者の割合)の達成率は68.9%、EASI 90達成率は39.6%と高い効果が示されている薬剤です。個人的な意見としては投与後に「皮膚のバリア機能」が改善し、スベスベとした皮膚になる方が多い印象です。
    • 代表的な副作用として結膜炎がありますが、投与中止となる方はほとんどいません。
  2. JAK阻害薬(当科ではリンヴォック®を使用しております)
    • これまでの治療で十分な効果が得られていない12歳以上の患者さんが適応になります。
    • 毎日内服する錠剤で、アトピー性皮膚炎の「かゆみ」や「アレルギー炎症」に関与するJAKという物質の働きを阻害する薬剤です。1錠(15mg)で効果不十分な場合は、2錠(30mg)に増量することが可能です。
    • EASI 75の達成率は15mgと30mgでそれぞれ65%、77%。EASI 90達成率は15mgと30mgでそれぞれ43%、63%と高い効果が示されている薬剤です。個人的な意見としては、「かゆみ」をおさえる効果が高く、内服して数時間後に“痒みが止まった”と実感される方も少なくない印象です。
    • 内服中は感染症(上気道感染やヘルペス感染)を発症するリスクが高くなるため、定期的に診察と採血検査などを行います。感染症を発症した場合は休薬となります。
  3. 非ステロイド外用薬(コレクチム軟膏®、モイゼルト軟膏®)
    • 非ステロイド外用剤としてはタクロリムス(プロトピック®)軟膏が以前より使用されておりましたが、2020年にコレクチム軟膏が、2021年にモイゼルト軟膏が新たに選択肢として加わりました。コレクチム軟はJAK、モイゼルト軟はPDE4という物質をそれぞれ抑制するとされております。「かゆみ」と「炎症」をおさえる作用はステロイド外用剤ほどは強くはありませんが、ステロイドのような副作用がないため、長期間の使用やproactive療法(湿疹が出ないように予防的に外用を行うこと)に適した薬剤と考えます。

皮膚細菌感染症

  • 表在性皮膚細菌感染症:顔のにきび(ざ瘡)や、とびひ(伝染性膿痂疹)などが代表的な皮膚表在性細菌感染症です。症状に応じて抗生剤を外用、あるいは短期間の内服を併用して治療することが一般的です。再発を繰り返す場合は日々の生活習慣やスキンケアの改善が必要となることもあります。
  • 深在性皮膚細菌感染症:皮膚全体が真っ赤に腫れて痛くなる蜂窩織炎(ほうかしきえん)では、1週間程度の抗生剤の点滴が必要となることが多く、入院治療をおすすめすることがあります。

ウィルス感染症

  • ヘルペスウィルスによるもの:口の周りや、陰部にチクチクとした痛みのある水ぶくれが出来た場合は、一般的に「ヘルペス」と呼ばれている「単純疱疹」かもしれません。症状が軽い場合は自然に、あるいは市販薬で軽快することがありますが、痛みが強い場合などは抗ヘルペス薬の内服が必要となることがあります。
    痛みのある水ぶくれが、体の半分に帯のようにみられた場合は、「帯状疱疹」かもしれません。帯状疱疹は筋肉痛のような痛みが発疹に先行することがあり、患者さんによっては最後まで発疹が出ない場合もあります。治療は抗ウィルス薬の内服・点滴ですが、早期の治療が重要ですので体の半分(例1:右のお腹から背中まで、例2:左の肩から腕まで)にチクチクピリピリするような痛みが出た場合は、当科にご相談ください。
  • ヘルペス以外のウィルスによるもの:代表的なものでいえば、いわゆるイボ(尋常性疣贅/じんじょうせいゆうぜい)があります。タコや魚の目にも似ていますが、表面がブツブツしていて小さな黒い点(点状出血)が見えることがあります。手足や顔などに出来やすく、自分にも他の人にも移してしまう可能性があるため、早めの治療が大切です。液体窒素で凍結させる治療が一般的ですが、痛みが強い場合は化学薬品の塗布や、サリチル酸ワセリンの外用など、継続が可能な治療法を提案しています。

診療実績