ER救急センター

ER救急センター診療部長 / 根岸正敏

近森病院は2011年5月、高知県から救命救急センターの指定を受けました

さらに、2012年8月 救命救急病棟が全面改築されました

2014年5月には、ヘリポート、新ERが完成予定です

■診療

 当院の救急部門は、ER救急センターとして長年にわたり高知県全域から最も多くの救急車の受け入れを行ってきたこと、高知県初の地域医療支援病院として多くの患者さんを受け入れてきたこと、そして災害拠点病院、高知DMATとして災害医療に貢献してきたことなどの評価を頂き、2011年5月16日に高知県から救命救急センターに指定されました。外来部門はERとして、軽症~重症まで多くの患者さんを受け入れており、病棟は救命救急病棟として18床が認可されています。

 救命救急センターに指定されてから、まもなく2年を迎えます。当然、救命救急センターの使命として、三次救急といわれる重症患者さんの受け入れを行いますが、当院が従来、軽症から重症まで、救急車やヘリコプターで搬入される患者さんから、歩いて受診される患者さん(walk in)まで、あらゆる状態の患者さんを受け入れる、いわゆる北米型ER方式で運営してきた歴史的背景を踏まえ、ベッド状況が許す限りは、これまでの方針を引き継いで診療にあたっています。救急車やヘリでの搬入患者さんは医師が、walk in患者さんは主にトリアージナースが緊急度・重症度から優先順位を判断した上で(院外、院内で訓練を受けた専任の担当看護師が、JTASというトリアージシステムに則り判断しています)、救急専従医師による迅速な診断と治療を行っています。対象疾患は緊急性を要する脳卒中や心疾患、熱傷や多発外傷などの重症疾患から、かぜや打撲傷などの軽症疾患まで様々です。初期診断・治療の後、必要に応じて専門医に引き継がれ、さらに高度の医療を行います。重症患者さんの入院を受け入れる救命救急ベッドは18床が認可されており、2012年8月には、本館B棟4階に改築を行い、2:1看護体制の集中治療対応の高度なベッドに生まれ変わり、日勤帯はER医師が、また休日夜間帯は各診療科の応援も得て24時間専従医師が常駐する体制をとっています。

 救急車の受け入れ数は、ここ数年5,000件前後(図.1)で推移しており、市内はもとより県内全域から広く患者さんを受け入れています。2012年の救急車搬入件数は、4,982件(図.2)でうち入院が2,720件、心肺停止は97件でした。患者さんの重症度別では、軽症(外来での処置、通院で可能)は約44%、中等症(手術や入院が必要であるが、一般病棟で対応可能)が約17%、重症(ICUなどの重症対応病床への入院を要する)が38%でした(図.3)。救急受入れ要請に対しては、できる限り受け入れる方針で運営していますが、対応病床が確保困難、救急車受け入れが多数重なるなどの理由から応需できない症例もあり(図.4)、今後の改善すべき点と考えています。

 これにつきましては、現在すでに旧本館部分に屋上ヘリポートを備えた新棟の建築が始まっており、2014年6月には、病院全体としての急性期病床も100床ほど増え、外来部門であるERも現在の約3倍の面積に拡充される予定で、これによりさらに受け入れがスムースになることを期待しております。

 診療医師体制については、ERの救急専従医師4名(根岸、井原、竹内、三木)、各診療科からの派遣医師で対応しております。竹内医師が日本救急医学会救急専門医となり、専門医3名の体制となりました。

 現在は一旦減じてはいますが、これに内科、整形外科からローテーション医師、研修医4~5名での診療体制をとっています。ほかに、walk-in対応の内科系医師2~3名とで、救急車やwalk-inのすべての救急患者に対応しています。

 再診の処置のみの患者さんには、外科、形成外科、整形外科医師が午後からのみ対応しています。

 ERは夜間・休日は内科系、外科系医師による当直体制をとっていますが、加えて各診療科ともに直ちに対応可能なオンコール体制をとり、24時間体制でバックアップしています。また、2007年に開始したドクターカーは、救急部専従医師および救急救命士で対応しており、2012年は76回(ヘリ搬送22件を含む)の出動がありました(図.5)。直接または中継搬送を行っており、循環器疾患や中枢神経疾患など緊急度・重症度ともに高い症例が多くみられます。

 看護師は、和田センター看護師長を中心に、外来部門であるER、救命救急病棟、また放射線部門などが、一体となって看護にあたっています。

 救急救命士は、2013年4月には4名体制となり、ドクターカーを中心に活動しています。  

  • 図1:年別の救急車搬入件数  » クリックで拡大 ->

    図1:年別の救急車搬入件数

  • 図2:2012年の月別救急車搬入件数  » クリックで拡大 ->

    図2:2012年の月別救急車搬入件数

  • 図3:2012年の救急車受け入れ患者重症度  » クリックで拡大 ->

    図3:2012年の救急車受け入れ患者重症度

  • 図4:2012年の月別救急車受け入れ要請に対する応需率の推移  » クリックで拡大 ->

    図4:2012年の月別救急車受け入れ要請に対する応需率の推移

  • 図5:2012年のDRカーの疾患別件数  » クリックで拡大 ->

    図5:2012年のDRカーの疾患別件数

 

■教育

 ERスタッフを中心に、AHAのBLS、ACLSコース(米国心臓協会心肺蘇生)、ICLSコース(救急医学会心肺蘇生)やJATECコース(初期外傷診療)、DMAT研修(災害医療)などの各講習会にもインストラクターとして積極的に参加しており、JPTEC(病院前外傷救護)では、近森病院内での開催も行なっています。その他にも、地域医療講演会の一環として、救急、災害関係の講演会も行い、日々研鑽を積んでいます。

■災害医療

 2010年に高知県から災害拠点病院に指定され、その役割を果たすために、近森病院の災害対策委員会、高知県および高知市の災害関係機関とも連携をとりながら、2012年も各種の災害訓練や講習会等に参加し、レベルアップと整備の充実をはかっています。

 2013年3月末には、高知県からの補助もあり、災害派遣の専用車(DMAT車両)も購入し、災害派遣への備えも万全です。NBC災害に対しても、井原医師、災害対策委員会が中心に準備を進めています。

 

■論文・著書
筆者 タイトル 出版社
  • 井原則之ら
    共著
新体系 看護学新書/看護の統合と実践② 「災害看護学」第8章 搬送 2012
  • 高橋潔
  • 西本陽央
  • 林悟
  • 長谷川義仁
  • 根岸正敏
  • 竹内敦子
ワーファリン内服中の頭蓋内出血患者に対するRecombinant Factor VIIaの使用経験 脳卒中の外科 40:14-18, 2012

 

■発表
名称 開催日 会場 演題名 発表者
第65回高知県医師会学会
 
8月18日 高知 縊頚による鈍的気管損傷が疑われた1例
  • 佐野俊和
  • 山本彰
  • 辻井茂宏
  • 津田昇一
  • 坪井香保里
  • 八木健
  • 北川尚史
  • 田中洋輔
  • 北村龍彦
  • 三木俊史
  • 竹内敦子
  • 井原則之
  • 根岸正敏
特発性脊髄硬膜外血腫の3症例
  • 伊達慶一
  • 三木俊史
  • 竹内敦子
  • 井原則之
  • 根岸正敏
  • 大塚亮介
  • 井上智雄
  • 衣笠清人
第40回日本救急医学会総会・学術集会 11月13~15日 京都 まむし咬傷に対する抗毒素血清の効果についての検討
  • 竹内敦子
  • 三木俊史
  • 井原則之
  • 根岸正敏
第10回日本医療マネージメント学会高知県支部学術集会 8月26日 高知 iPad®を用いた外来緊急度判定(トリアージ)システムの導入と構築
  • 酒井由夏
  • 竹内敦子
  • 根岸正敏
  • 和田道子
  • 森澤恵
  • 山﨑明美
  • 西森百合
  • 福井麻里子
  • 岡林万喜
  • 前田美穂
  • 橿尾幸聖