相談役 近森正幸のひとりごと soliloquy

相談役 近森正幸のひとりごと

相談役 近森正幸のひとりごと

[2018年08月] 田村 雅一先生に感謝して

37年前、田村雅一先生が梶原和歌婦長と一緒に近森病院の精神科に科長として来て頂いた頃の精神科は、病棟の窓に鉄格子があり、その間から患者さんが「助けて~」と叫んでいるような大変なところでした。先生はマイナスからの出発でしたが、スタッフと力を合わせて1984年10月には精神科が独立し、近森病院第二分院を新しく開設、院長に就任し、近代的な精神科医療を展開してくれました。

その頃の先生の口癖は、「精神科医療は看護師はじめスタッフがチームでやるもので、医師は後方でみんなを見守るのが役割だ」というものでした。考えてみると、近森が進めてきた「多職種による病棟常駐型チーム医療」を今から30年以上前に精神科医療の現場で実践して頂いておりました。スタッフが自律、自働するチーム医療の考え方で病院を運営されていましたので、優秀な医師ばかりでなく看護師や作業療法士、臨床心理士、精神保健福祉士が集まって下さり、たとえ精神障害があっても心豊かにその人らしく生きるサポートを目指す現在の近森病院総合心療センターに繋がっています。

1998年8月にはメンタルクリニックちかもりの院長に就任、翌年には近森病院分院跡に高知メンタルリハビリテーションセンターを開設、メンタルデイケアや援護寮、訪問看護ステーションラポールちかもりも併設し、精神障害者の社会復帰や就労支援に尽力して頂きました。先生の長年の努力が今年新設なった社会福祉法人ファミーユ高知のしごと・生活サポートセンターウェーブに形として現れています。

現在、近森病院総合心療センターは病床106床を60床の急性期病棟に機能を絞り込み、デイケアメンタルとパティオの2つのデイケアで社会復帰を進め、訪問看護ステーションラポールちかもりで在宅をサポートし、しごと・生活サポートセンターウェーブで就労支援を行う、急性期から社会復帰、就労支援という精神科医療の理想の形を進んでくれております。その礎を一生をかけて作り上げて下さったのは田村先生です。理事長として長年のご苦労に深く感謝するとともにこれからもお元気で活躍されることを祈っております。

社会医療法人近森会
理事長 近森 正幸