2003年2月には近森病院が「地域医療支援病院」に認定され、近森会にとってきわめて重要な節目の年になりました。
振り返れば昭和21年の創業時からは60年近く、救急告示病院の指定を受けてからおよそ40年、そして父のあとを継いで院長になって20年近く、不透明な医療界の中で、無駄な医療をせず、患者さんを早く治して自宅へ返すという、急性期からリハビリテーション、そして在宅への道筋をつくる努力が、やっと実を結んだ年であり、ここに来てようやく深い霧が晴れ、自分たちの進む道が見えてきた思いがしています。
地域医療支援病院は、地域のかかりつけの先生方をサポートするために、救急患者や紹介患者の受け入れ、病床や設備の共同利用、さらには地域の医療スタッフの研修といった、まさに地域の医療、医療機関を支援する病院であり、これまで近森病院の中だけで医療をしておればよかった時代から、高知県の医療を支える近森病院にその役割を質的に大きく転換した年だといえます。
2007年を少し振り返ってみますと、今日の日本の医療界、なかでも高知県は、臨床研修医制度の実施や、2006年4月の診療報酬のこれまでにないマイナス改定により、医師不足とともに急性期を含む医療全体の地盤低下が生じ、医療崩壊の様相を呈しています。こうした厳しい状況下で、近森病院はこの四半世紀にわたり、「患者さんにとって、何がいい医療なのか」、「いい医療を提供するためには、どのような病院でなければならないか」を常に考え、時代の変化に応じ、全力をあげて変革に取り組んできました。
2007年の三つの大きな出来事をあげますと、その一つ目は、3月に研修医が近森病院での初期研修を修了し、あるものは当院の後期研修医として、あるものは県外の大学などに後期研修の道を踏み出したことです。民間病院として医師を育てる病院になれたことは、医療の質の高さと厚みがあってこそ出来ることで、院長としてたいへん嬉しく思っています。初期研修医の一期生は手作りの「研修医マニュアル」と、円山病理部長の指導のもとに「CPCレポート集」という大きな足跡を残して育ってくれました。研修医を受け入れてくれた研修管理委員会の先生方を始め多くのスタッフに感謝致します。
二つ目は、松田病院から委譲のお話があり、在宅総合ケアセンターを近森オルソリハビリテーション病院に衣替えし、10月15日に開院したことです。4階一般病棟44床、5、6階回復期リハビリテーション病棟56床を擁し、整形外科に特化した100床のリハビリテーション病院に生まれ変わりました。
施設を病院に転換したのは全国でも初めてではないでしょうか。そのため広々とした空間が確保され、大腿骨頸部骨折などの術後の車椅子の患者さんにとっても、理想的なリハビリテーションの空間が出来たように思います。
次に、近森リハビリテーション病院の前院長の栗原正紀先生が立ち上げられる長崎リハビリテーション病院から71名ものスタッフの研修を近森リハビリテーション病院が受け入れたことで、なによりもこれだけの研修生を8カ月間にわたって、いちどに受け入れることが出来たことを誇りに思うとともに、みなさんのこれからの活躍を祈っています。
2008年は近森病院を始め近森会グループ一丸となって、後期研修医を中心とした医師、看護師、リハスタッフなどのコメディカルを充実し、急性期の医療機能をさらに高め、リハビリテーションを行ない、出来るだけ早く自宅に帰っていただくよう、病院機能のさらなる充実を図ろうとしております。
4月には私が理事長に就任した社会福祉法人ファミーユ高知は、春野の高知県立身体障害者リハビリテーションセンターの民間移管先となり、4月には上田真弓を施設長に高知ハビリテーリングセンターとして運営開始致します。将来は身体障害だけでなく、知的、精神を含む、すべての障害者の社会復帰、就業支援のセンターとして、真の意味の障害者のノーマライゼーションを求め、近森会グループの社会貢献の一環として、強力に事業を推進していきたいと考えています。
秋にはサーバーの更新に伴い、レスポンスの改善と処置オーダーや指示受などの機能の向上を目的として、電子カルテ・システム(HR)のリニューアルが予定されています。
出来高払いの固定概念を排し、病院のあり方までも変えて
DPCによる一日包括払いが導入され、これまで以上に良質で効率的な医療を行なわなければ、病院らしい病院として存続出来ない時代になったといえます。出来高払いの固定概念から脱し、病院の医療機能を絞り込み、多職種によるチーム医療を行って労働生産性を上げ、薬や診療材料などのコストを下げる必要があります。そして、迅速確実な根本治療と低栄養に対する栄養サポート、廃用に対するリハビリテーションを積極的に行なっていかなければなりません。
現在は、10〜20年先に振り返えると、「医療の大きな転換点」だったと言われるのではないでしょうか。戦後連綿と続いてきた医療から新しい時代の高齢社会の医療へと大きく転換する、そのエポックメイキングの地点に、いま我々は立っているのだと思います。
これまで常識とされてきた急性期医療のあり方を変え、スタッフの構成を変え、病院のあり方までをも変える時代になっています。わたしたち近森会グループは、高齢社会の医療の最先端にあって、自ら時代を切り開きながら進んでおり、スタッフ全員が自覚と、誇りをもって良質で効率的な医療を行なってほしいと願っています。
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